「後見制度を使えばいい」と言う人が知らない、“できない”と認めるまでの葛藤
自分の意思で契約を交わし、手続きを進めようとしても、 支援者の同行や代行があっただけで、
「判断能力があるのか」「後見制度を使うべきでは」
と、当然のように言われる社会になっています。
認知症と診断されたわけではなくても、
誰かが代わって動くと、
「疑わしい」と見なされてしまうのです。
確かに、後見制度を利用することで社会的な信用や取引の円滑さが得られる場面はあります。
しかし、実際に制度を利用するまでには、
想像以上に長く、繊細なプロセスが存在します。
社会にどれだけ制度を勧める空気があったとしても、
認知症の自覚がない方に、
「あなたは判断能力がないから、後見制度を使いましょう」とは決して言えません。
信頼関係を築き、雑談を重ねながら、
少しずつ「病院に行ってみましょうか」と提案する。
それに付き添い、診察を受け、
ご本人自身の申し出によって診断につなげる。
そこからさらに、「自分は認知症である」と受け入れてもらい、
ご本人が「判断能力に限界があるかもしれない」と自認して初めて、
「財産の管理を他者に委ねる制度」を納得して受け入れてもらうことができる。
そのプロセスには、数ヶ月どころか、数年かかることもあります。
そしてその間にも、日常生活の支援や制度の利用手続きなど、
多くの困難が生じるため、周囲のサポートが不可欠です。
本人の尊厳を守りながら後見制度にたどり着くまでに、
どれだけの時間と心の折り合いが必要なのか。
「後見制度を使えばいい」と言う前に、
そこに至るまでの現実と向き合う視点が、
今、社会に求められているのではないでしょうか。
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